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EC業務をAIで組み直した記録

7か月で、作業は約半分に。
事故も4回起きた

今年の4月から、楽天・Amazon・Yahoo!ショッピングで売っている自社のEC業務を、AIで組み直しています。社内の勉強会で使った6分の動画と、その中身を文章にしたものです。

クリックで全画面
動画 約6分音声:Gemini TTS数字の期間:2026年4月〜10月
01

7か月の数字

私はエンジニアではありません。やりたいことを日本語で AI に頼み、出てきたものを確かめて直してもらう。それを7か月続けた結果です。

スタッフの稼働時間 約半分
1月
100
8月
52.7

カレンダーの記録から集計。1月を100とした値。

スタッフの人数 約4割減

人が減っただけでなく、残った一人ひとりの稼働時間も減りました。

決めた時刻に自動で動くプログラム 約215本
4月
31
10月
約215

10月の値は推計。

AIに渡している作業手順書 117本
4月
4
10月
117

「この作業はこの順でやる」をAI向けに書いた文書。

02

できるようになったこと

大きな仕組みを1つ入れたのではなく、毎日の小さな手作業を1つずつ置き換えていきました。そのうちの7つです。

広告の予算

土日も、予算切れで止まらない

前スタッフが毎日5分かけて、手で予算を足していた。土日は忘れ、セールの日に予算切れのまま止まっていた。今4時間おきに、AIが残りの予算を一定に合わせる。
セールの運用

終わった瞬間に、一括で元に戻す

前サムネイルの残り、価格やセール用の設定の戻し忘れ、販売期間切れでの非表示。セールのたびに何かが起きていた。今月初に計画を立てると、クーポンの発行も商品名の切り替えも予約どおりに動き、終了と同時に戻る。
レビューと発送

住所のコピーが、ボタンひとつに

前レビュー特典の発送は、住所を1件ずつコピーしていた。今レビューには全件、自然な文章で返信。特典の発送もインスタグラムのモニター発送も、承認するだけで一括で送れる。
在庫の偏り

倉庫の在庫が切れたら、出荷元を切り替える

前アパレルは種類が多く、Amazon の倉庫の在庫が切れがちだった。今毎日在庫を見て、切れたら別の倉庫から自動で出荷。納品されたら戻す。
問い合わせ

6つの窓口を、1つの画面に

Amazon楽天
Yahoo!メール
LINEInstagram
1つの画面AIが過去の履歴とマニュアルから、全件の下書きを作る。スタッフは確認して、少し直して、送るだけ。

以前は、それぞれの画面にログインして返信していました。今は返品やキャンセルもその画面のボタンから処理できます。スタッフが直した差分をAIが学ぶので、下書きは少しずつ良くなっています。

自動応答の見直し

問い合わせそのものを減らす

楽天のチャットの自動応答を、毎月見直しています。問い合わせの履歴から、お客様が知りたかったことを商品ページと自動応答に足していく。下は、自動応答が「役に立った」と押された割合です。

単位は%。10月は24日まで。8月に下がった理由は、まだ分かっていません。楽天全体の平均は3割弱と聞いています。

広告の運用

手が回らない週に、赤字にならない

以前は私が毎週4〜5時間、多いときは1日がかりで広告を調整していました。忙しい週は効率が落ちて、赤字になる。今は予算も毎週の調整も、ほぼ自動です。

Amazon 広告経由の売上(7月から9月)約2.3倍
広告費あたりの売上(ROAS)3.7から4.1

良くなったのは Amazon の数字です。楽天の広告の ROAS は同じ時期に下がっていて、こちらはまだ立て直せていません。

03

事故も起きた

自動化は、間違いを、速く、正確に、繰り返します。7か月で起きた大きなものを4つ並べます。

136件

特典が宅配便で出ていった

手作業の頃はすべてメール便だった特典の発送が、自動化したあと136件、宅配便で出荷されていた。低単価の品では、送料が商品の原価の数倍になる。

×1.5

予算ルールが逆向きに動いた

成績の悪い広告の予算を半分にするはずのルールが、成績の悪い広告ほど予算を1.5倍にしていた。

2位から
100位台

セールの商品名が途中で切れた

セール用の商品名の付け替えで末尾が切れ、検索順位が2位から100位台まで落ちた。

2割減

検索キーワードを削りすぎた

「関連性が低い」というAIの提案どおりに検索キーワードを大きく削ったら、検索からの流入が約2割減った。元に戻すと回復した。

どれも、最初の設定を人が確かめていなかったのが原因でした。

いまは、配送方法のように毎回のコストに効く設定は、実際の運用を知っている担当者に確かめてから決めています。商品名やキーワードは、理屈が正しく見えても一度に大きく変えず、1つずつ変えて1週間測ります。

04

コストは下がった。売上はまだ途中

コストを下げる成果が出た

作業時間と人の手間は、上の数字のとおり。

売上を伸ばす試行錯誤の途中

いま力を入れているのは、商品ページの磨き上げと、新商品の市場調査の2つ。

商品ページの磨き上げ

問い合わせ、レビュー、競合のページとレビュー、検索順位を、商品ごとにAIが分析します。どこで勝負するかを決め、お客様の疑問と、買う決め手を洗い出す。そこから商品名、説明文、キャッチコピー、ページの構成まで作り、画像も AI で一括で作ります。ここまでを半自動で回すテストをしています。

問い合わせ・レビュー>競合のページ>勝負どころを決める>文章と構成>画像を一括で作る

商品そのものの改善点は工場へ、新しい商品のアイデアは試作の相談へ回します。

結果は、まだ両極端

最初に試したページ×0.5

転換率(買った人の割合)が半分に落ちた。

作り方を見直したページ×3

転換率が約3倍になった。

2つはキーワード、お客様の流れ、出発点の数字が違います。ページの作りだけの効果かどうかは、まだ分かっていません。

画像の質は、写真と並んだ

148人に、AIで作った人物の画像と本物の写真を、どちらか伏せて見せました。「本物だと思う」と答えた人の割合です。

AIの画像(実在の人の顔を参照)
83%
本物の写真
77%
AIの画像(架空の人物)
28%

決め手は顔でした。架空の人物は顔が整いすぎて、見抜かれやすい。あとは、人のデザイナーに頼むときと同じように、きちんとディレクションできるかどうかです。

新商品の市場調査

キーワードごとに需要と競合を調べる>参入するか決める>理想の商品の仮説>アンケートで確かめる>工場と仕様を詰める

今売れている商品にどれだけ勝てるかを確かめてから、工場と仕様を詰める。この流れを仕組みにしているところです。売上につながったかどうかは、まだ言えません。

05

これからやる3つのこと

  1. 商品を改善するプロセスの精度を上げる
  2. 売れる商品を、再現性高く出せるようにする
  3. 人の作業をAIに移しながら、判断する仕事をスタッフに任せていく
  • 数字の期間は2026年4月から10月。どれも自社の記録(カレンダー、ストアの管理画面、広告の管理画面、アンケートの集計)から取っています。
  • 他社で同じ結果になるとは限りません。うまくいかなかった話も含めて、実験の記録として公開しています。